インターネットの世界では心だけで繋がっていた二人が、
リアルの世界で出会ったら、体だけの関係になった。
少年少女の性を描いた問題作の最終章です。
週刊ビッグコミックスピリッツ’10 年 9〜18 号連載。
作/榎本ナリコ。
高校生の岩崎ノボルは、たまたま開いたインターネット上の
掲示板に、 “NOBODY” というハンドルネームで書き込みをした。
すると管理人の “R” から、すぐにレスが返って来た。
この人は、今ここにいる。R の飾らない言葉とその単純な事に
感動し、ノボルは NOBODY として、R と交流するようになった。
“生きている実感がない”“でもキミには心があるでしょう”
現実の知人には口に出せないそんな青臭い会話でも、
R となら真剣に交わせた。何気なく、“R” の由来を訊いてみた。
答えが返って来た。
「REAL」──。
ノボルは R に、会いたくなった。
待ち合わせ場所に現れた現実の R は、男という予想に反し、
大人の女性だった。R はノボルをホテルに誘った。
それ以来、突然呼び付けられては体を要求されるようになった。
拒めなかった。ノボルは “自分は自分が蔑んでいた、援交している
同級生の桐島マユ子と同じだ”、と思うようになった。
テーマはまたも心と体の分断です。今度はインターネットです。
10 年近く前の作品ですが、当時はまだ割と新しい題材だっただろう
インターネットが、かなり上手く話に取り入れられています。
これほどこのテーマに相応しい素材はないでしょう。
インターネットこそ、人が完全に、心だけになれる
場所なのですから。
心と心で会話をしていた筈なのに、現実に出会った R は、
無言でノボルの体だけを求めます。ネットでは心だけ、
現実では体だけの関係になるのです。その時の R は命令口調で、
『これ何のプレイだよ』と笑ってしまうところもあります。
R との関係に悩んでいたノボルは、ふとしたきっかけで
マユ子と親しく話をするようになります。
彼女から、R に指定されてノボルが設定していた
待ち合わせ用の着メロは、ピノキオの曲だと指摘されます。
自分は彼女の人形なのか。ノボルの心は傷付きます。
体だけの存在になる事を何とも思っていなかったマユ子も、
ノボルに刺激されて、今まで何とも思っていなかった事に
傷付くようになります。
自分は人形じゃない。二人は心の叫びを抑えられなくなります。
しかし、意外な正体を持つ R 自身もまた、人形なのでした。
これまでも観念的、哲学的な内容が多かったのですが、
これは最も観念的で、このシリーズで繰り返し扱われてきた
心と体というテーマの集大成のようになっています。
抽象的なモノローグが多く、内容的に難しいと同時に、
面白さという点ではいまいちパッとしない、地味な話でした。
リアルの世界で出会ったら、体だけの関係になった。
少年少女の性を描いた問題作の最終章です。
週刊ビッグコミックスピリッツ’10 年 9〜18 号連載。
作/榎本ナリコ。
高校生の岩崎ノボルは、たまたま開いたインターネット上の
掲示板に、 “NOBODY” というハンドルネームで書き込みをした。
すると管理人の “R” から、すぐにレスが返って来た。
この人は、今ここにいる。R の飾らない言葉とその単純な事に
感動し、ノボルは NOBODY として、R と交流するようになった。
“生きている実感がない”“でもキミには心があるでしょう”
現実の知人には口に出せないそんな青臭い会話でも、
R となら真剣に交わせた。何気なく、“R” の由来を訊いてみた。
答えが返って来た。
「REAL」──。
ノボルは R に、会いたくなった。
待ち合わせ場所に現れた現実の R は、男という予想に反し、
大人の女性だった。R はノボルをホテルに誘った。
それ以来、突然呼び付けられては体を要求されるようになった。
拒めなかった。ノボルは “自分は自分が蔑んでいた、援交している
同級生の桐島マユ子と同じだ”、と思うようになった。
テーマはまたも心と体の分断です。今度はインターネットです。
10 年近く前の作品ですが、当時はまだ割と新しい題材だっただろう
インターネットが、かなり上手く話に取り入れられています。
これほどこのテーマに相応しい素材はないでしょう。
インターネットこそ、人が完全に、心だけになれる
場所なのですから。
心と心で会話をしていた筈なのに、現実に出会った R は、
無言でノボルの体だけを求めます。ネットでは心だけ、
現実では体だけの関係になるのです。その時の R は命令口調で、
『これ何のプレイだよ』と笑ってしまうところもあります。
R との関係に悩んでいたノボルは、ふとしたきっかけで
マユ子と親しく話をするようになります。
彼女から、R に指定されてノボルが設定していた
待ち合わせ用の着メロは、ピノキオの曲だと指摘されます。
自分は彼女の人形なのか。ノボルの心は傷付きます。
体だけの存在になる事を何とも思っていなかったマユ子も、
ノボルに刺激されて、今まで何とも思っていなかった事に
傷付くようになります。
自分は人形じゃない。二人は心の叫びを抑えられなくなります。
しかし、意外な正体を持つ R 自身もまた、人形なのでした。
これまでも観念的、哲学的な内容が多かったのですが、
これは最も観念的で、このシリーズで繰り返し扱われてきた
心と体というテーマの集大成のようになっています。
抽象的なモノローグが多く、内容的に難しいと同時に、
面白さという点ではいまいちパッとしない、地味な話でした。