殺生丸の娘の日暮とわを主人公に、双子の妹のせつな
従姉妹に当たる犬夜叉かごめの娘もろは
3 人の半妖の夜叉姫達が活躍する、アニメオリジナルの
犬夜叉の続編です。夜叉姫達は、時代を超え
末法末世の世を作ろうと目論む麒麟丸を止められるのか !?

せつなの死というとんでもない場面で終わった壱の章。
とわが父・殺生丸から譲り受けた天生牙で
せつなを生き返らせようとするところから第弐章は始まります。

せつなは刀鍛冶の刀々斎にせつなの血刀の能力を引き出せる
薙刀 ”所縁の断ち切り” を打って貰いました。
とわは他人の妖力を吸い取る能力を生かせる武器を造る為、
吸妖魂の根があるという産霊山 (むすびやま) に向かいます。
自分だけの刀を手に入れるエピソードは犬夜叉を踏襲しています。

産霊山で吸妖魂の根を守っていたのは、麒麟丸の死んだ娘の
りおんの霊でした。りおんは麒麟丸の野望を止めたいと
思っており、とわに吸妖魂の根でできた横笛を渡しました。
りおんは土でできた仮初の体を使い、山を出て理玖
行動を共にしますが、このりおんがほぼラスボスになるとは。

とわが笛を吹くと笛は刀に変化し、斬星剣となる。
せつなの所縁の断ち切りは、縁 (えにし) の糸を切る事ができる。
所縁の断ち切りは、時代樹に捕らわれている
二人の母・りんを救うために必要なものでした。

そして、せつなが夢の胡蝶に眠りを奪われていた理由も、
殺生丸が犬の大将の墓が収められている黒真珠に
犬夜叉とかごめを閉じ込めていた理由も、殺生丸が
天生牙で是露を生き返らせた理由も明らかになりました。

全ては繋がっていて、全ては殺生丸がりんの命を守る為、
りんを想うが故に行っていた行動だったんですね。
無表情の殺生丸ですが、りんへの愛の深さが伝わってきました。

そして、娘達への愛と信頼も。せつなととわが成長し、
是露とりんの縁を断ち切る力を得られるようになるまで、
時に助け、陰ながら娘達を見守って待っていたのでしょう。

麒麟丸は時を超える事ができる “時の風車” へ導く精霊、
阿久留を探しています。しかし何故かとわ達や
殺生丸ら犬の一族にしか阿久留の姿は見えません。

とわやせつなの前にふと現れて、風車を持って悪戯っ子のように
走り回ってふと消える。とわが死にかけた時は助けてくれました。
小さくて、にこっと笑って、阿久留は可愛かったです。

500 年後の令和の時代。とわの担任だった希林理
明らかに麒麟丸と関係があると思っていましたが、
何と麒麟丸の (比喩ではなく文字通りの) 右腕でした。

何も分からず生まれ変わっただけの存在と思っていましたが、
希林先生は全部認識していて、時を超えて麒麟丸からの指令を
受け取っていました。でも麒麟丸の目的には反対しています。

彗星のような妖霊星が令和の地球に近づいてきているのを感じ、
希林先生は妖霊星の影響で増えた妖怪を一人退治して
回っています。時の風車でとわ達が現代に戻ってきた時は、
一緒に妖怪退治をし、妖霊星を抑えようと協力していました。

この時は、完全に味方になっていると思いました。
麒麟丸が 500 年前の世界から意識に呼び掛けても無視。
麒麟丸の角だった理玖と言い、右腕だった希林理と言い、
麒麟丸の本体から切り離された奴はどうしはてこうも
言う事聞かないで敵に回る奴ばっかりなんだと面白いです。

でも本当の敵は理だった!妖気の塊である妖霊星の本体は、
妖怪を吸収してしまう妖霊蝶の蛹でした。
妖霊星を連れ帰った理は羽化した妖霊蝶にりおんを取り込み、
りおんを王として傅いて妖怪たちを吸収させ始めました。

希林理もりおんを「娘」と呼び、自分の方がりおんの気持ちを
理解している、と本体と対立するんですよね。
麒麟丸は麒麟丸で、りおんを生き返らせる為に
とわを犠牲にしてとわの体を使おうとしていたし。
どちらもそれぞれのやり方で、娘を大切にしようとしている。

殺生丸は、麒麟丸との戦いで麒麟丸を
「人間のようだ」と表現しました。それは麒麟丸にとっては
貶す言葉と感じられましたが、愛する者を想う心がある、
そしてそれは自分も同じ──と伝えたかったのかも知れません。

とわとせつなは母のりんを是露の呪いから助け出し、
もろはは犬夜叉とかごめが囚われていた黒真珠の中で
二人と再会しました。また、幼いとわはせつなとはぐれて
現代に来た後、どれだけせつなを求めていたかも描かれました。
親子の愛、家族の絆はこの物語の大きなテーマだったでしょう。

中心は夜叉姫 3 人でしたが、妖霊蝶を抑える結界の作成と戦いには
弥勒や珊瑚も参戦し、七宝ちゃんも登場して、
懐かしいメンバーが揃った姿が見られたのは嬉しかったです。

副題に「戦国御伽草子」と付いていますが、正に理屈抜きの昔話、
お伽話のような物語でした。最後は死んだと思っていた理玖が
しれっと復活。新しい旅に出るところで終わりました。
謎と懸念が全て解決し、明るい未来へ向かう、
清々しいラストでした。