碇シンジを始めとする 14 歳の少年少女たちが、
汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンに乗り、
人類を襲う謎の敵・使徒と闘う。

詳しいストーリーの説明は不要でしょう。
放送から 25 年経った今も劇場版の新作の公開が控えている、
日本アニメ史に残る金字塔と言える TV アニメです。

元々は '95-'96 年にテレビ東京の夕方に放送されていました。
投稿のタイミングを合わせた訳では全くないのですが、
何と 25 年前の今日、1995.10.4 に始まったと知って驚きました。

あの終わり方が当時もかなり話題になっていたのでしょう。
後に映画化され、その時の TBS「王様のブランチ」の特集で
恵俊彰さんが熱く語るのを見たのが、興味を持ったきっかけです。

その特集の後にテレビ東京の深夜で三夜連続一挙放送があって、
それをビデオテープに録画して見たのがエヴァを見た最初でした。
見た後に上から別の番組を録って消してしまって、
保存版にしておけば良かったと激しく後悔しました。
どれだけハマったかと言うと、何でもいいからグッズが欲しくて、
アニメイトがある場所を探して下敷きを買ってしまった程です。

消えずに残っていた8話目からは取っておく事にしたので、
8話目以降だけは、何十回とは言いませんが、繰り返し見ました。
更に新劇場版の TV 放送前に何故か日本テレビで
放送してくれて、今度こそ全話保存版にしました。
二度とやらないと思っていたので夢のようでした。

その頃は DVD レコーダーを持っていたので DVD に焼きました。
そして今また、新劇場版完結編の公開前の復習と宣伝のため、
tvk で放送してくれました。しかも、デジタルリマスターで!

別曜日に千葉テレビでも放送していたので、失敗した時の
保険になりました。事実、小田原市長選のテロップが
入った事があったのですが、録り直して Complete できました。
BD レコーダーで全話録画して、これも BD に焼きました。

私がエヴァにハマった一番の要因は、使徒の余りに奇妙な、
前衛的なデザインでした。第一話を見ただけで、
その圧倒的なオリジナリティに、愕然としてしまいました。

正八面体、ただの球 (実態は地面に映った影の方)、
アメンボみたいな形、魚みたいな姿、カビのような細菌状、
ただの光の帯。これまでのアニメでこんな敵がいたでしょうか。

それは傷付けられれば大量の血を流し、断末魔の悲鳴さえ挙げ、
ヒトの遺伝子配列とほぼ同じ生物だという。エヴァのパイロットに
精神攻撃をし、人の心を知ろうとしているという。
謎だらけの存在です。

顔らしき部分をちょっと傾げるようにして口からビームを放つ姿、
にょろにょろ動く触手状の腕、或いはバララララっと折り畳まれた
紙が広がるような腕でエヴァの腕を鋭く切断するような攻撃。

それが信号機や電線の向こうのビルの陰から、山の向こうから、
ヌッと顔を出す。私はこの信号機や電線という演出が大好きです。
私達の現実の世界に近く、生々しく見えるように、意図的に
配置されていると考えています。そこに使徒が現れる事で、
日常の中に非日常が訪れたと強調できるのです。

傾いた信号機にエヴァが倒した使徒の血がビシャッっと掛かる。
それを見たマヤが「ウッ」と吐き気を催し口を覆い、顔を背ける。
そんなシーンは暴走したエヴァの残虐性を表しています。

使徒は謎だらけですが、エヴァも負けず劣らず謎だらけです。
アンビリカルケーブル (臍の緒という意味らしい) で電源が繋がる
有線接続のロボット (実はロボットじゃないけど) それ自体も
珍しいけど、ケーブルが切断されると内部電源は 5 分しか
持たないはずなのに、シンジのピンチには再起動します。

覚醒し、暴走すると、腕がもがれても生えてくる。
果ては使徒を食い、使徒の能力を吸収する。
「使徒を・・・食ってる」のミサトのセリフは忘れられません。
初号機の中にはユイの母親が取り込まれていると解釈しています。
だから初号機は意思を持つかのようにシンジを守り、
ゲンドウは特別に大事にしているのでしょう。

使徒との戦闘シーンで流れる BGM も強烈なインパクトです。
オーケストラで ♪パーパーパパ パーパパーパーパーと流れる
クライマックスは圧巻。この BGM は、バラエティで
巨大生物が出てくるような場面の BGM でも多用されていますね。

主題歌の残酷な天使のテーゼも未だにアニメソングランキングで
NO.1 になる名曲です。曲に合わせて高速で画像が切り替わる
オープニングアニメーションにも惚れ惚れします。
各話のタイトルでも使われる極太明朝体もエヴァの特徴ですね。

使徒、エヴァ、アダム、死海文書などキリスト教の用語や
見捨てられ不安、エディプス / エレクトラコンプレックス、
山嵐のジレンマなど心理学っぽい雰囲気が散りばめられている事は
様々な解釈を呼び、多くの人を引き付けました。当時の心理学系の
大学では、卒論にエヴァを取り上げる学生がたくさんいました。

シンジとアスカがどちらも幼少期に母親が死ぬのを目の前で見た
設定なのは興味深いです。一方は自信が無く内向的に、
一方は自信家で外向的にと正反対に育ちましたが、シンジが
活躍するほどアスカが壊れていくのは上手い対比になっています。

レイに至っては親が存在すらしない、エヴァと同じ性質を持つ、
作られた人間だったようです。ゲンドウがユイとの間の子供に
「男だったらシンジ、女だったらレイと名付ける」
という台詞を入れたのは、レイがユイの DNA から作られた
子供のような存在である事を示しているのでしょう。

キャラとしては、アスカよりレイの方が人気があったと思います。
透明感のある外見、謎めいた雰囲気、細く、それでいて力強く、
囁くような声。どれも少女キャラとして突出した魅力があります。
ゲンドウ以外には心のない人形のような態度を取っていた彼女が、
シンジとの交流で新しい感情を覚えていくところは心温まります。

庵野さんがラブコメっぽいネタをちょくちょく挟んでくるのは、
狙ってやっているんでしょうね。転校生の美少女の写真を
隠し撮りして売るとか、昭和か!と思いました。

こうであったかも知れない世界として描かれた、幼馴染のシンジを
アスカが起こしに行き、転校生のレイが食パンを咥えて走ってきて
ぶつかる、なんてベタベタです。こういうの、好きなんでしょう。
このまま夢オチで終わったらどうしようか思いました。

TV 放送は全 26 話だったのですが、終盤は明らかに
製作スケジュールがヤバくなっていると判って面白かったです。
予告が下書きになって、とうとう絵コンテ、台本になりました。
H×HBASTARD!!みたいな事をアニメでやるとは。

最後の 2 回は観念的な、話とも言えない語りに終始しました。
これはかなり論争 (又はクレーム) を呼んだのではないでしょうか。
この頃はインターネットなんて亡いも同然だから、パソコン通信?

旧劇場版で第 25,26 話として続きを作り直したのは、
放送に穴をあけられないので納得が行かないまま放送せざるを
得なかったのか、裏事情は分かりません。ただ、私が
「おめでとう!」にポカーンとした事だけは間違いありません。